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My Book / 著書紹介
『商品はつくるな 市場をつくれ』
キリン「伝説のヒットメーカー」商品づくり24の技法
— The Art of Innovation —
- 刊行情報:ダイヤモンド社より2022年3月15日刊行
- 仕様:256ページ / 販売価格 1,650円(消費税込)
- 電子書籍:Kindleなど電子書籍版も各プラットフォームにて好評発売中。
- 海外展開:台湾版(『熱賣商品企劃力』)および中国本土版(『打造王牌』)など、アジア圏へも翻訳出版されています。
- オーディオブック:耳で聴く書籍としてオーディオブック版(Amazon Audible等)も好評配信中。
はじめに
これまでの30年余り、私は商品づくりに携わってきました。
手掛けたのは、発泡酒の「麒麟淡麗〈生〉」、チューハイ「氷結」、世界初のアルコール0.00%ビール「キリンフリー」、クラフトビールの先駆けとなった「スプリングバレーブルワリー」など。おかげさまで数多くの大ヒット商品に恵まれ、その総売上は、およそ9兆円となりました。
実は、これらの商品には共通点があります。
「まだ見ぬ市場をつくった」商品であること。競合商品の追随ではなく、圧倒的なオリジナリティで、新たな市場を生み出してきたこと。これこそが「千に三つ」や「一生涯一ヒット」といわれる食品・飲料業界で大ヒット商品を連発してきた秘訣です。
本書では、「市場を切り拓く商品のつくり方」を若手からベテランまで誰でも今日からすぐに実践できるよう一冊にまとめました。
ちょっと偉そうに「ヒットメーカー」としての実績を語りましたが、実は、私にはお世辞にも有能とはいえない「冬の時代」を長年過ごした過去があります。
学生時代から、自分のつくったもので世の中をアッと驚かせたい、歴史を変えたい、と夢見ていた私。「ものづくり」という仕事への思い入れもあり、当時、その世界観に魅了されていたアルコール飲料メーカーに就職しました。
最初の4年間は営業部門に配属され、深夜まで飲食店や酒屋周りの日々。ヘトヘトになりながらも業績は振るわず、得意先や上司に怒られ続けた毎日でした。「こんな仕事辞めちゃおうか」と何度も悩みました。
しかし「いつか必ずスゴい新商品をつくるんだ」「世界を変えるんだ!」という夢は捨てきれず。当時の上司に「どうしても商品開発がしたい」と異動願いを出し続けました。
その甲斐あって、晴れてマーケティング部へ異動することになりました。ところが、最初の担当は新商品開発ではなく、ギフトセット。ギフトカタログや価格表をつくるのが主な業務です。そこでは誤植を連発し、何度も価格表に正誤表をはさみ込む大失態を演じました。最終的には上司もさじを投げ、1年ちょっとで担当変更になりました。
その後、国産ウイスキーやバーボンのブランド担当を経て、ついに、夢にまでも見た新商品開発担当になったのです。
しかし、何をやっても空回りで、ひとつとしてうまくいきません。どうにか発売にこぎつけた商品もまったく売れずじまい。文字通り、鳴かず飛ばずの、周囲の誰もが認めるダメ社員でした。
大ヒット商品「連発」のきっかけ
そんな私に、転機が訪れました。「ハートランド」や「一番搾り」を開発した前田仁さんという方が、私の部署に異動してきたのです。突然、数々のヒット商品を手掛けた「スーパーエース」と一緒に仕事をすることに。そのこと自体、異例で驚きましたが、彼との仕事を通じてさらに度肝を抜かれることになりました。
それまでの私は、「世の中に風穴を開ける」や「市場の逆張り」ばかりを狙い、尖った、美味しそうに聞こえる響きのいい商品ばかりつくっていました。しかし、完成度や個性、カッコよさを追い求めるあまり、お客様視点が大きく欠落していたのです。
当時担当していた洋酒は売れても数十万本、つまり数十万人相手の仕事。「わかる人だけ買えばいい」そう思っていました。つまり、すべて送り手視点での開発。お客様により喜んでいただけるにはどうするべきか、考えたことはまったくありませんでした。
片や前田さんが手掛けてきたのは、少なくとも数千万の人が買うビール。「一番搾り」のような看板商品であれば、1億人規模のお客様が相手の仕事です。少なくとも、私の数千倍大きい市場や世の中を見ていたわけです。それまでの自分の視野の狭さや、考えの浅さ、稚拙さをいたほど感じさせられました。
中でも最も衝撃的だったのは、現在の市場へ「動的に働きかけ、市場そのものを塗り替え、変革していく」発想、「創造的破壊」です。
「ビールとかウイスキーとか、清酒もそうだけど、成熟・衰退市場で生き残る方法はそれしかないよ」
そういわれたとき、最初は半信半疑でした。しかし、数年前に「一番搾り」で実行、成功させたと聞き、その後キリンビールに移った後も共に仕事をするうちに、私の商品づくりは180度変わりました。それ以来、私にとって商品づくりで最も大切なのは、市場をつくること。さらにその先にある、より良い未来をつくることになりました。
そのためには、既存の商品と比べながら考えていてはいけません。今までまったく存在しなかった、オリジナリティ溢れるものをつくる必要があるのです。さらに、市場をつくり出すには、長年支持され続けるロングセラーを育てなければいけません。そのために、お客様のリアリティを徹底的に追求するようになりました。表層的なカッコよさだけではない、その裏にある見栄や本音までを見通し、商品づくりをしてきたのです。
本書の構成──「商品づくり」の4要素
本書では、市場をつくる骨太な商品のための技法を、4つのパートに分けて説明します。ただ単に「淡麗」や「氷結」などの成功事例だけを紹介するだけでなく、売れなかった商品のどこがダメだったのか、どう考えればよかったのかの失敗事例の分析までも徹底的に解説しました。さらに、発売に至らなかったボツ企画の直筆メモまで掲載しています。
第1章 未来の市場のド真ん中を射貫け
競合ではなく、未来を見る考え方について、「淡麗」「氷結」「キリンフリー」の実例と共に解説します。これまで連発してきたヒット商品には、すべてこの考え方が通底しています。より良い商品をつくるなら、いきなり商品のことを考えてはいけません。まずは、未来を構想する必要があるのです。「氷結」の初期構想のスケッチを参考に、自分がつくる商品の未来を考えてみましょう。
第2章 「偶然のひらめき」を呼び込む習慣
今までにない、真にオリジナルなアイディアの発想法を紹介します。変化に惑わされず、市場をつくるロングセラーには欠かせない不変の法則をつかむ方法もわかります。商品の着想を得るにも、それを実現させる方法を考えるにも、具体的なアイディアが必要です。私も、アイディアがどんどん出てくる天才型ではありません。だからこそ、人一倍アイディアを生み出し、記録する方法を考えてきました。
第3章 企画書で商品は磨かれる
「企画書は、魅力的な提案をするために使うもの」と思っていませんか? 私の場合は違います。商品を「磨き上げる」ために使うのです。思いついたままのアイディアは、まだまだ弱く頼りないもの。骨太な商品にするために、あらゆる角度から検証します。「こんなコンセプトや企画書、人に見せられない……」と悩んでいるなら、この方法で企画書を書いてみましょう。「スプリングバレーブルワリー」構想時の企画書や、いつも使っているお気に入りの道具たちも大公開します。
第4章 純度を保ちながら、化学反応を起こす
最終的に商品の明暗を分けるのはチームワーク。お客様が感動し、市場をつくり変えることができる100点満点以上の商品は、一人ではつくれません。チーム運営や一緒に働く人の才能の引き出し方など、人の力を借りて、想像や常識の上をいく商品をつくる方法を解説します。逆風に立ち向かった「氷結」開発時には「ある言葉」でチームをまとめあげたのです。
これらはすべて、ダメ社員から抜け出し「ヒットメーカー」と呼ばれるようになるまで、日々工夫し、実践してきたやり方です。地頭が良いとか、いま仕事ができるとか、そんなものはたいして関係ありません。大事なのは、どれだけ「良い商品をつくりたい」「より良い未来を届けたい」と考え抜くかです。
誰でもいつか必ず、良い商品、ヒット商品、ロングセラーがつくれる。それどころか、より大きな新しい市場だってつくれると、私は信じています。
それではさっそく、社会を、未来をより良いものに変える商品づくりを始めましょう!
詳細構成・目次
-
1 商品づくりは、市場づくりだ
- いきなり商品をつくるのはやめよう
- 商品と未来をつなぐ「市場」
- 市場をつくり変え、未来をつくる
- 看板商品を超え「未来の当たり前」をつくる
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2 未来を構想する ──「淡麗」「キリンフリー」のケース
- 市場をつくるため「キリンフリー」の構想
- 構造変化を見据えよ───「淡麗」のシナリオ
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3 ロングセラーをつくる2つのアプローチ
- 目指すは、追随・対抗される商品
- 競合商品は見ない
- アプローチ① 垂直思考でヒントを見つける
- アプローチ② 妄想見取り図──「氷結」の初期構想
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4 マイミッションを起点に
- 自分の「ミッション」と「ビジョン」を明らかにしよう
- 私が「任され仕事」で失敗した理由
- 組織のミッションと自分のミッションの重なりを見つけよう
- 理想は「5方良し」の実現
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5 何度も問い直す商品づくり「3つの質問」
- 「人々を本当に幸せにするか、世の中をよくするか?」
- 人々を幸せにするために必要なものか
- あらゆる情報網から世の中を知り、ヒントを見つけよう
- 「真のオリジナリティがあるか?」
- 異次元・別次元の「何か」であるか
- 世界初のパッケージデザイン「氷結」
- 「100点満点以上か?」
- お客様の期待値を超え、感動水準を
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6 5W1Hではなく「1W +4W1H」で考える
- とにかく「Why?」からスタート
- 「Why?」を繰り返し、目的を明確化
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7 アイディアは「セレンディピティ」で爆発する
- 発想力を格段に上げる秘訣
- 「セレンディピティ」を自ら呼び込むには
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8 インプット、インプット、とにかくインプット
- アウトプット量はインプット量に比例する
- 「越境」のススメ
- 「居場所を変える」「つきあう人を変える」「読む本を変える」
- 「マルチタグ付け」で脳内情報整理
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9 ひらめきを呼ぶ5つの「ユリイカ!」モーメント
- イノベーションとは、知っているもの同士の組み合わせ
- ひらめきの瞬間が「ユリイカ!」モーメント
- ひらめきが訪れる5つのパターン
- 小さなひらめき「プチ・ユリイカ!」
- ストーリーがまとまっていく「流れるユリイカ!」
- アイディアを発展させる「紙上のユリイカ!」
- 一日の終りに「整理・まとめのユリイカ!」
- アイディアの小宇宙「ビッグバン・ユリイカ!」
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10 大きな変化と先行市場を探す
- 探すのは、長期の大きな変化(サイクル、トレンド、メガトレンド)
- これだけはおさえておきたい「超」メガトレンド3選
- 「健康志向」「エシカル消費」「人口動態」による変化
- 「淡麗」のチャンスを見出した「先行市場」
- 「先行市場」は根っこがおなじものを探す
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11 骨太な商品には「愛」がある
- 変わらないことを骨太な土台に
- 永続性の指針。「真・善・美」
- 「キリンフリー」に込めた愛
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12 「X人格」になりきる
- お客様のリアリティに迫る
- とある男子高校生になりきる方法
- 動ける人物像に仕上げよう
- 自由自在に「X人格」になれるトレーニング
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13 想像力が飛躍するエクストリーム発想術
- 極端を考えるトレーニング
- What if(ホワット・イフ)法
- 「超・越」・「極・端」・「逆・転」発想法
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14 まずは、自分に向けた企画書を
- 企画書は4段階
- バージョン違いもすべて保存。敗者復活で輝くアイディアも。
- 人に伝えることを念頭に
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15 企画書を書き始めるための5つの秘策
- 衝動を感じたときがチャンス
- 締め切りセットに上司を使う
- 「まず10分!」で取りかかろう
- 精度、完璧さは求めない
- 環境の助けを借りて、クリエイティブ・モードに入り込む
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16 企画の7つ道具
- お気に入りの道具を大公開
- デジタルツールは「シンプルさ」で選ぶ
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17 真っ白な紙に、まず一行
- 真っ白な紙に、新しい文字を書いていく
- 自分の言葉で書いていこう
- 修飾語が重なると意味がゼロに
- 落書きでもいい、図解やイラストを加えよう
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18 アイディアを結晶化し、磨く
- 受け手目線のコンセプト──「キリンフリー」の魅力は何だ!?
- カテゴリーになる言葉、カテゴリーを飛び越える言葉が最強
- 1秒で伝わることをめざす
- 「一番搾り」「氷結」「フリー」…ネーミング必勝法
- 企画メモを他人に見てもらう
- 驚きのある新しさはあるか
- Column: 「麒麟淡麗〈生〉」の命名秘話
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19 チームを企み(たくらみ)に巻き込む
- 「夢を語ること」から始めよう
- チームの力で企画を伸ばし、拡げる
- チームが迷子になってしまったら?
- あいまいな言葉にはビジュアルの力を
- 自分の企画を進めたいならホワイトボードは人に渡すな
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20 チームをまとめる言葉をつくる
- 「氷結」チームをまとめたインナースローガン
- 裏コンセプトでポジティブに企む
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21 組織の壁を突破する「提案書」
- 企画書から提案書へ
- コミュニケーションは、受け手が主役
- 創造的破壊はいったんしまい込む
- 待つことも大切、チャンスは必ず訪れる
-
22 最強商品は才能のかけ算で生まれる
- 真摯に耳を傾け、改善する
- 災い転じて、商品は強くなる
- 「同じ言語」を話す
- 天才の力を120%引き出す「逆質問」
- コンセプトとデザインを一体化させる
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23 ファンさえも商品づくりに巻き込む
- お客様との関係が変わっている
- コミュニティづくりがカギ
- 社内ベンチャーの意義(スプリングバレーブルワリー)
-
24 ヒットして安心しない
- 発売はゴールではなく、スタート
- 満足しない。次を考える
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